In other words

I really don't know life at all ...

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Billy Irishを聴いたとき、私はもうこの世界を共有することはないのだと思った件。

Billy Irish(ビリー・アイリッシュ)という若いアーティストの曲を聴くたびに、ちょっとした寂しさに襲われたりする。

私がこんな感情を抱くのは、決まって「失われた時」を思ってのことだ。
失われた若さと、それに付随するもの全てから、完全に見放されたことを自覚して、寂しくなってしまう。

なんとも大人気ないのだけれど。。。

いいなと思うアーティストがいれば、当然ライブなどへ行ってみたいと思う。けれど、もうBilly Irish は無理だ。。。


中高年がライブへ行ってノリノリになることができないというわけではない。
矢沢永吉のライブに繰り出して、30年、40年前と同じようにタオルを投げながら、Yazawaと共にシャウトしている同年代は沢山いるだろう。しかし、私はそれさえも躊躇してしまう。


そうするためには、幾つになろうが「突き抜ける」必要があると、自分自身が思いこんでいるところに問題がある。
その命が尽きるまで「ロックだぜ!」と我流を貫いた故内田裕也氏のように(ちょっと古いか。。。)。
つまり、これは内田裕也になれない、自分にとっての問題なのだ。

年齢や己の見た目もかえりみず、我が道を突き進む覚悟というものの有無。。。





年齢という点で言えば、同じような年齢の中年女性が自分の子供と同じくらいの韓流アイドルを追いかけるなどという話は、いくらでもある。

ただ、そこには若い彼らを育てたい、応援してあげたいといった母心のようなものが見え隠れする。

しかし、私がBilly Irish に求めるものはそれとは全く質の違うものだ。

これは初めて『ultra』とかいうイベントを知った時の思いに似ている。

あの場所で、割れるようなノイズの中で一晩中ガンガン踊り狂うことが出来たら、どんなに楽しいだろうかと。

そこで、ハタと自分の体力や運動能力の低下が思い出される。それと同時に頭に浮かんでくるのは、自己満足丸出しで無様に踊る美しくない中年女という絵だ。

まさに公害に値する。。。


Billy Irish が『bad guy 』のプロモーションビデオで見せる、あのおかしなダンスはとても魅力的だ。

若い頃の自分なら。。。

ちょっと真似してみたりしたくなっただろう。

若ささえあれば、ライブに行って、あのヘンテコリンなダンスを彼女と一緒に踊り狂うこともできただろう。

まさにその空気、その世界観を共有した気持ちになれるはずだ。

しかし、それはもうできない。
ライブへ行くことも、恥を忍んで踊るくらいのこともできないことはない。
しかし、そこには「羞恥」というかつてなかった邪魔な感情が立ち塞がってくることは間違いない。
そうなると、あの世界に完全に入り込むことはできないのだ。





子供達はきっと知っている。
YouTubeの履歴を見て、母親がどんなものに心躍らせているかを。

だから、時折マライアやコステロなどを入れておいたりする(笑)

これがマドンナとかワムまでいくと、いかにも昭和だから、そこは少し見栄をはって、もう少し新しい雰囲気のあるチョイスにしてみる。

マライアやコステロも古いには古いのだけれど、今時の若者も結構知っていたりするのだ。そのせいで、あまり古さを感じさせない。
いかにもアラフィフの女が聴きそうなチョイスで、我ながらいい感じだと思う。


自分の娘と同じ年頃のアーティストを観て、その世界に魅了されながらも、フロアーには立つことができずに、2階席に座ってにこやかに、そしてお行儀よくクレイジーな若者達を見ていなければいけないことを想像するのは寂しい。

過ぎた時間は戻らない。私はもう17歳の女の子には戻れない。あの何もかもを忘れたようにその瞬間を楽しむという熱狂を、もう二度と味わうことはない。

やりたくても出来ないことがあるというのは、悔しいものだ。

いくつになってもできないことはない。

人はよくそう言うけれど、それを可能にするためには捨てなければいけないものもあるのだ。

私にとって、「羞恥心」ということになる。
見栄を張るつもりはないけれど、さすがに不格好な姿を公衆の面前で晒す勇気はない。

つまり、どう考えても、もうBilly Irishは無理なのだ。。。


いい歳をしてくだらないことを考えていると、我ながら思う。
だからこそ、家族にも友人にもそんなことは言わない。

ただ、そんな若かりし頃の自分を渇望していることも、また確かなことで、それを完全に自分の中から追い出せないのが困ったものなのだ。

まったく、おかしな中年になったものだと自分でも呆れている(笑)