In other words

I really don't know life at all ...

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日本食は身体に優しい。肉と脂にまみれた欧米食から離れ、胃腸の不調改善。

新型コロナもようやく落ち着いたかと、今年の6月に「温泉プチ湯治」と称して、二泊三日の旅に出た。
場所は長野駅から電車で1時間弱下った、小さな温泉だった。

これまでは完全にホテル派だったのだけれど、50代になり旅の形もこれまでは違ったスタイルを求めるようになったため、宿選びも少し冒険してみようと思った。

今回選んだのは、小さな旅館だった。
部屋数はおそらく10室程度のものだろう。家族経営のお宿で、出される料理は会席のような派手なものではなく、そのまんま家庭的な和食だった。

家庭的ではあるけれど、品数はとても多く、普通の主婦が家庭で毎食用意できるようなものではなく、完食するとしばらく動けなくなるくらいのボリューム満点料理だった。

出された食事は完食する主義なので、私は多少お腹がきつくても頑張って食べ切った。

食べ終えたあと、御膳を片付けにきてくれるまでは、なんとか姿勢を正していることができたのだけれど、女将が「おそまつさまでした」と、御膳を片付け、パタンと襖を閉めたところでダウンだ。

敷かれた布団の上に倒れ込み「お腹いっぱいー」と、まるで妊婦のように膨れ上がったお腹を必死でさすった。
それくらいお腹いっぱい食べたのだった。

本来ならここで胃腸の調子を崩し、トイレへ駆け込むことになるのが常だけれど、不思議なことにただお腹いっぱいなだけで、不快感はまったくなかった。

少し落ち着いてきた頃、部屋にある温泉に浸かっていたら、妊婦のようなお腹は変わらないけれど、お腹いっぱいな感じは次第に遠のいた。

この温泉の効用に、消化器系の活性化はなかったのだけれど、ブクブクとまるで音が聞こえてくるかのように、ものすごい勢いで、胃の中のものが消化していくのがわかった。

すごい!
これぞ日本食の底力か⁉︎
はたまた温泉力というものか⁉︎





外国人である夫と結婚してから、かれこれ25年以上になる。
この長きにわたる年月、私の胃腸はヘビーな欧米食に否応なしに晒されてきた。

もっと早く、そのダメージに気づくべきであったと、今更ながら思うところだけれど、若かりし頃の私はといえば、フレンチやイタリアンといった欧米の食をとりわけ好んでいた。

類は友を呼ぶで、子供を産んだ後に知り合った、いわゆる「ママ友」と呼ばれるランチ仲間達も、同じような嗜好の持ち主ばかりだった。

毎日のように、誰かしらが「すごく美味しいフレンチのお店があるの」「新しくできたイタリアンの店、行ってみない?」などと、頻繁にランチ会を催してくれた。

私もまた行きたいレストランがあれば、友人達に声をかけ、肉と脂にまみれた美味しい料理に舌鼓を打っていたのだ。

この積み重ねこそが、数十年後の胃弱を生み出すとは知るよしもなかった。。。

しかし、そこに後悔はない。季節季節で美味しいものを堪能できたし、胃腸が丈夫な比較的若いうちに、好きなものを思う存分食べておいてよかったとさえ思う。

肉と脂にまみれた生活は外だけではなかった。家でも完全なる洋食だったからだ。

外国人と結婚したこと、そして自分もまた日本食よりは欧米寄りの食事を好んでいたせいで、我が家の食卓にはほとんど日本食が並ぶことはなかった。

冷蔵庫の中には常に牛、豚、鶏問わず、大量の肉、そして大きなバターの塊やチーズ、クリームといったものが常備されていた。

もちろん、それと同じくらい野菜もたくさん摂取してきたつもりだったけれど、サラダのような生野菜か、オリーブオイルをぐるりとかけてオーブンで焼いたグリル料理で、バターを使ったソースにまみれた肉の塊と並ぶと、それら野菜達は明らかな脇役だったのだ。

そんな大好物とも言える肉と脂の日々に不安を覚えるようになったのは、45歳を過ぎた頃だった。。。





食後、どうも調子が悪い。
ランチへ行った日の夜は、晩御飯の時間になっても昼に食べたものが完全に消化されないのがわかるほど、胃腸に不快感を覚えるようになった。

最初はたまたま体調が悪いのだろうと思っていた。
しかし、その頃から毎回ご馳走ランチの後には胃腸の調子を崩すようになったのだ。

このような食生活を長年送りながらも、よくぞ糖尿病にもならなかったと思う。さらにはコレステロール値まで正常なのだから、これは奇跡と言えるのではないか⁉︎

自分はそんな体質なのだろうと、楽観していたのだけれど、その後大病で手術をする羽目になった。
食生活や遺伝とは直接関係のない病であると医師は言っていたけれど、私は懐疑的だ。

食が身体を作るのだとすれば、まったくの無関係とは言えない。
それまでの生活が少しずつ影響を与えている可能性はなきにしもあらずだ。

とにかく、その頃から健康に対する自信が少しずつ失われていった。。。

それに追い討ちをかけたのが、新型コロナによる自粛生活だ。

肉と脂にまみれているにも関わらず、比較的健康体でいられたのは、食べるのと同じくらいの運動量があったせいだと思っている。

40代まではジムへ通ったりしていたこともあったのだけれど、50代になってからはジムへも行かず、ランニングもしない生活になった。
そのかわりに始めたのがウォーキングだった。目的がないとつまらないので、1時間ほど歩いた先にあるお菓子屋さんを目指し、とにかくよく歩いた。
おかげで食べても太ることはなく、健康診断の結果も良好だった。

ところがコロナ禍による外出自粛によって、長いこと続けていたウォーキングの習慣がぷつりと止まった。

習慣だったからこそ、どんな天候の日でも「面倒くさい」と思わずに、歩いていたのだけれど、その習慣が途絶えた途端に、わざわざ歩くためだけに出かけるのが億劫に感じ始めたのだ。

ウォーキングなどする時間があるのなら、家でゆっくり趣味を楽しんだほうがいい。
そう考えるようになってしまった。





それから2年半、ウォーキングはしていない。時折、買い物がてら、少し遠くまで徒歩で行くこともあるけれど、歩くためだけに出かけることはなくなった。

その結果はお腹周りについてきた脂肪で知ることとなったのだ。
脂肪といっても、若い身体につく脂肪とはまったく別物といってよい。
若い身体につく脂肪がコシの強いわらび餅だとしたら、私のお腹のそれは、消費期限を過ぎた求肥の大福のように、水気が出たせいでデロ〜ンと流れるが如く締まりのなくなった皮のような脂肪なのだ。
ちょっと例えがマニアックでわかりずらい。。。
つまりは、しまりがなく、だらしない付き方をしているということである。

この歳になると、一度ついた贅肉を削ぎ落とすのは大変な努力を要する。
運動に加え、徹底した食事管理が必要になってくるのである。

しかし私はといえば、運動は嫌い、でも食べるのは大好きときている。太ることは得意だけれど、痩せることは大の苦手なのだ。
ただの意志薄弱ともいう。。。

とはいえ、もう麗しき若き乙女ではないので、体型が崩れても大した問題ではない。
そんな開き直りもあるので、太ること自体はそれほど気には留めていないのだけれど、それよりも大切なのは「健康」だ。

身体を動かすことといえば、家事にお買い物くらいのものだ。あとは好きなものを食べて、毎日のおやつも欠かさない。

その上、胃腸に負担にかかる欧米食ばかりでは、いつか身体が壊れる。。。

怖いので、最近は意識して日本食を作るようにしている。
幸いなことに、外国人夫が単身赴任、時を同じくして、洋食が大好きな長女が一人暮らしのために家を出たので、今ではほとんど毎食日本食でOKになった。

友人とのランチなども、みんな同じように歳を重ね、昔のようには食べられなくなったのか、あっさりとした和食やお寿司など、肉と脂とは無縁の食事を楽しむようになった。

おかげで食後に胃腸の調子を崩すこともなくなった。

今の日本では、世界各国の食事が楽しめる。外食をせずとも、ネットにはレシピが溢れていて、自分で作ることもできるようになった。

しかし、私の胃腸はそうしたものを受け付けなくなった。
たまに、少しだけ楽しむのならいいけれど、日常的に満足がいくまでお腹いっぱいに食べることはできなくなったのだ。

なんだかんだ言っても私は日本人なのだ。
夫も50を過ぎているけれど、食べる量は若い頃よりも少なくなったものの、相変わらず肉と脂にまみれた食事を嬉々として胃袋に流し込んでいる。その後にクリームとお砂糖たっぷりのデザートを食べても、まったく問題ない。
夫を見ていると、日本人と欧米人では、体質が違うだとつくづく感じる。

日本人には日本人に合った食生活があるということを、この歳になり、改めて知った。

土井先生の『一汁一菜でよいという提案』を読んでから、なるべく一人の時は、そんな質素な食事を心がけている。

面倒だったり、残り物の消費として、まだまだ洋食を口にすることも多い。
けれど、心がけておくだけで洋モノが胃袋に収まる量は格段に少なくなるはずだ。

完璧には無理でも、努力はしたいと思う。

身体に合った食生活で胃腸を整え、病気知らずで長生きしたいものだ。
そのためには、やはり日本食なのである!