昔と違って今はほとんど電話でのやり取りということをしなくなった。
電話をするとすれば、昔ながらの和菓子屋さんなどに予約の電話をする時くらいだろうか。
家族ともお友達とも電話での連絡は、よほど緊急の時だけで、ほぼ全ての連絡はLINEを使っている。
それが最近、見知らぬ番号からよく電話がかかってきていた。2度ほど外出中で電話が取れなかったのだけれど、今朝また同じような番号からかかってきた。
こんなに何度も、しかも週末の午前中からどんな用事かと出てみれば、現在契約している携帯電話会社に関連する…とにかく聞いてもよくわからない会社からの電話だった。
そういえば、前にも同じところからかかってきたことを思い出した。その際は若い男性と思われる人で、今回はかなり若い女性のようだった。
どこか遠慮がちに以前聞いた覚えのあるセリフを話し出した。
内容はといえば全く前回と同じで、つまり現在のプランが終了になる、こちらのプランにすれば1ヶ月で3,000円安くなる。
手続きは店舗でもオンラインでも不可。この電話でのみ可能。
そんなところなのだけれど、そもそもすべてネットで完結してしまうと言っても過言ではない今の時代、電話のみでしか契約できないというのもおかしな話だ。
前回も同じように感じてあれこれ質問したのだけれど、こちらが納得するような説明は何一つなく、そちらの情報をもう少し調べてからにしますと言って電話を切ったのだった。
今回もまた一応話は聞いたのだけれど、やはり同じ疑問しか湧いてこない。
詐欺だとまでは言わないけれど、巧妙に大手キャリアの看板を目の前にちらつかせながらの勧誘はどこか釈然としない。
決して意地悪のつもりではなかったのだけれど、どんな会社で目的や相手方のメリットはなんなのだろうと素朴な疑問から、あれこれと質問をしてみた。
契約プランの内容以前に、そちら様はどんな会社?
正式に◯◯◯◯◯◯(携帯電話会社)から依頼を受けての営業電話?
なぜ電話だけなの?
なぜこちらからお問い合わせできないの?
そんな質問をするたび、沈黙、そしてしどろもどろになりながら、お得です!電話でのみと決まっています!と、同じことを繰り返すばかり…
かなり苦し紛れな感じで、この子も会社の命令で嫌な電話をかけているのだろうなと、さすがに電話の向こうにいる女の子が気の毒になってきた。
きたのだけれど。。。
そのうち明らかに不機嫌が声に出てきて、この電話でのみお得な契約ができるのよ!とばかりにかなり慇懃無礼な物言いになってきたので、同情心は泡のようにパチンと弾け、こちらもかなり不快になってきた。
自分の娘ほどの子供を怒鳴りつけるわけにもいかないので、得々とこちらからは一切連絡もとれない、一方的にかけてきた電話でのみ契約可能とは、ずいぶん都合のいいお商売なさっているのね⁉︎と、こちらも慇懃無礼に返し、最後にはそのような勝手な会社とは契約致しません!とお断りした。
一瞬沈黙、そして「わかりました」と女の子は憮然と一言言うと、電話を切った。
その間の通話時間は5分。
なんの生産性もないことに5分も費やしたのだ。
別に忙しい身の上ではないけれど、無駄にしていい時間など1分たりともない。
もう人生の折り返しを過ぎているのだ、登った山を下るだけの人生には、少しでも長くそこに留まるための努力が必要なのである。
そんな詐欺まがいの電話にくれてやる時間はないのだ。
これからは0800からかかってきた電話は着信拒否することにしよう。
電話に限らず、スマホのメールにも訳のわからないメールが毎日大量に入ってくる。
携帯電話会社、銀行、amazon、カード会社、宅急便、とにかく大手の名を語ったところから山ほどの迷惑メールが届くのだ。
それらのメールにはまず宛名がない。メールアドレスが宛名になっていて、◯◯様と個人名の記載がされていないのだ。
つまりは個人に宛てたものではなく、メールアドレスによって不特定多数の人に送られているものだと認識している。
そもそも日本という国は、いまだに超アナログと言ってもいい。ほとんどの大切な通知や手続きは郵送で送られてくるものだ。
もし、万が一詐欺メールでなかったとしても、それほど重要なことならば、また再度何かしらの連絡があるはずだ。
ネットの普及などでより複雑化し、我々若くない人間にとってはまったくわけわからんちんの社会であると実感することも少なくないけれど、実は物事というのはとてもシンプルだ。
これはなに?と思ったときこそ、原則に立ち戻ればいい。
それはごくごく当たり前のことで、まったく難しいことではない。
その原則とは何かといえば。。。
「知らない人とは話さない」
「都合のいい話には裏がある」
「ただで動くのは地震だけ」
私の場合はそんなところだ。
身に覚えのないことには近寄らない、都合のいい話には要注意。
詐欺の目的はお金を騙しとることだ。そのためには人参をちらつかせ、人の欲望を引き出し、気持ちを撹乱する。
今の時代、もう性善説などという日本人にあった美徳は期待できない。悲しいけれど、まずは疑うことが一番初めにやるべきことなのだ。
若い頃、今からもう30年くらい前に、本物の詐欺師に会ったことがある。私が詐欺被害に遭ったと言うのではなく、詐欺を生業としている人に会ったことがあるという話だ。
少し前にNetflixで流行った『地面師たち』というドラマがあったけれど、まさにそんなことをしている人達だった。
その人達と話した後に感じたのは、プロのターゲットになったら、もはや不可抗力だなというのことだった。
現在私のところに湧いてきている詐欺メールや電話などは、数打てば当たるという不特定多数を相手にしたものだ。
しかし自分にターゲットを絞られ、外堀を固められたら、もう手も足も出ないだろう。それほどプロというのは巧妙なものなのだ。
世の中にはなんの罪悪感もなく人を騙し、根こそぎ奪っていくような輩がいる。。。
若い頃にそんな意識を植え付けられたせいか、何事にも疑心暗鬼になってしまう癖がついてしまったようだ。
それもまた今の社会を生きる上では有益な経験であったと思える。
あの出会いは、のちの自分を守るために大いに役立っているのだから、どんな縁も侮れないと思う。
私はお金をすぐに遣ってしまうので、とられて困るようなものはない。
そもそもないものからはとれないのだから、心配はする必要はないのだけれど、騙されたらそれこそ気分が悪い。
頭に来て夜も眠れなくなるくらい悔しがり、免疫も下がり、健康を害することになるだろう。
今は健康を第一なので、その健康を守るためにも、詐欺師の餌食にならぬよう注意しなければと思う。
たった一本の電話で5分も無駄にした!とイラッときたけれど、これでブログ一本書けたのでチャラということで笑って済ませることにしよう(笑)