In other words

I really don't know life at all ...

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あの頃スマホがあったなら…記憶という曖昧なもの。

まだ子供達が幼い頃、従姉妹の伴侶であったイギリス人夫がソウル勤務になったということで、一度子供を連れて遊びに来いと言われ、まぁ行ったことのない国だし…と出かけたことがあった。
思えば、あれが私の初韓国旅行であった。

当時はまだガラ携の時代で、写真を撮るのも小さなデジカメでパシャパシャと撮影をしていたような時代だった。

それまで私にとっての韓国とは、街の焼肉屋さんだった。幼い頃から肉好きの父親に連れられて、よく焼肉屋で食事をしていたのだけれど、当然オーダーは父親で私はただ出されたものを食べるのみであった。
そこではいつもカルビやロースなどお肉、スープは決まってワカメスープ、他にはキムチやナムルといったごくごく普通の副菜が並んでいたように記憶している。

韓国に関してはその程度の知識しかなく、お隣の国とは言え観光名所さえ知らぬ国であった。

そんな私の初韓国旅行は食通夫婦によって忘れ難き旅となったのだ。
とにかく人柄がいいせいか、韓国赴任後にあっという間に現地の友人を作り、あちらこちら出かけていたらしい。
その成果か、とにかくその夫婦に連れて行かれる飲食店はどこへ行っても地元の人で賑わっていて、とても美味しかった。

サムギョプサルを食べたのもその時が初めてで、こんなにお野菜たっぷりで美味しい豚肉が食べられるなんて!と、すっかりサムギョプサルに夢中になったものだ。

朝ご飯に連れて行かれた店の鮑粥、屋台のホットクやトースト、よくわからないスイーツと、わずか3泊4日の旅は美味しい韓国料理で埋め尽くされた旅であった。



なんでも最初の体験というのは重要なもので、初めての韓国旅行がとにかく美味しいで埋め尽くされたせいで、その後幾度となく韓国へ行くようになった。

問題は連れて行ってもらったそれらの美味しいお店が、どこかわからないということだった。

特に初めてサムギョプサルを食べたお店の水キムチが本当に美味しくて、あの味よ再びと願ってやまないのだけれど、そのお店がなんとしても見つからない。

従姉妹に聞いてみたのだけれど、名前すらわからないという。なんでもその店はイギリス人夫が同僚からお勧めされたお店で、彼らの行きつけということでもなかったようなのだ。

それならイギリス人夫に尋ね、わからなければお薦めしてくれた同僚に聞けばいいと思うところなのだけれど。。。

従姉妹夫婦は2年ほどの赴任ののち本国へ帰った。それだけではない。帰国から程なくしてさまざまな問題が持ち上がり、挙げ句の果ての泥沼離婚だ。

さすがの私も悠長に「ご主人にサムギョプサルのお店、調べるように頼んでよー」などとは言えなかった。

あの泥沼離婚から10年ほど経った頃だろうか、そろそろほとぼりも覚めた頃かと、「あのサムギョプサルの店は…」と従姉妹に聞いてみたものの、写真もなければ記憶にもないという。

とにかくなんとしても見つからない…
頼みの綱は己の記憶だけとなんとも頼りない。
覚えているのは江南エリア、あとはぼんやりと店構え、自分が座っていた席あたりの内装、あのぽってりとした桃色サムギョプサル、そして韓流ドラマでよく出てくる薬湯の入った浅く白い茶碗で出される水キムチ。
全ては曖昧で朧げな記憶だ。

写真は多分当時使っていたデジカメで撮ったはずなのだけれど、マメに写真の整理などする方ではないので、どこにあるか思い出せない。
当時はブログも書いていなかったので、もはや手がかりは記憶だけなのだ。

しばらくはソウルへ行くたびに自分で探し回ったものだけれど、江南区に限定しても、無数にある飲食店の中からそのお店を見つけるのは、米粒に混じった胡麻粒を探すようなものだ。
さらにはまだそのお店が存在しているかすらわからない。

結局、見つからないまま今に至っている。
しかし諦めたわけではない。



もしもあの当時スマホがあったら、撮った写真を手がかりにチャッピー(Chat GPT)に探してもらうこともできたはずだ。
ひょっとしたらInstagramやXなどSNSでも見つけることができたかもしれない。

スマホなどなくて昭和世代は全然OKなのよなどと大きなことをいっているけれど、やはりあったら便利なものだと改めて思う。

記憶というのは実に曖昧なもので、これは固定されたものでなく、変化していくものらしい。
思い出すたびに過去のあらゆる感情、知識によって上書きされ、記憶されるというから、もはや最初の韓国旅行の記憶など、その後の渡韓によってどれだけ変化しているかわからない。
私の場合は特にだ。ごくごく新しい記憶でさえも、ほとんど知らないうちに脳内変換されていることがあり、まったく信用ならないと思っているくらいだから、もはや数十年前の記憶を辿ること自体が不可能なのだ。

とりあえずはそのお店のことは一度忘れ、サムギョプサルが美味しいとされるお店を渡り歩けば、ひょっとしていつかは辿り着けるかもしれない。
自分の記憶を頼りにするより、その方がずっと可能性は高いだろう。

最後に韓国へ旅をしたのはいつのことだったろう。。。
コロナ禍を機にすっかり海外へ行くのも億劫になり、昨今はもっぱら国内旅行ばかりなのだけれど、そろそろ美味しい韓国料理をお目当てに出かけたくなってきた。

まあ、赤坂や新大久保あたりへ行けば、美味しい韓国料理は食べられるけれど、やはり現地でしか味わえない空気というものもある。

夏は暑そうだから、秋頃にでも行ってみようかと思う。