たまにスマホを忘れて外出してしまうことがある。途中で忘れたことに気づいても、急を要する連絡を待っている時でもない限りは取りに戻らない。
社会にとって私はそれほど重要な人間ではないと自認しているし、常に確認を要するアプリなども一切ないので問題はない。
元々、昭和生まれのアナログ世代だ。スマホのない時代を経験してきた者は、何かあったとしても、なければないでどうにでも術を見つけることはできるという自負がある。
それならば、普段からスマホを持たずに出かければいい。
そう思うところだけれど、言うが易しで、実際にはそれをしようと思うと勇気がいる。
そこに便利なものがあれば、それを使いたくなるのは人の常。。。
実際にその恩恵に預かることが当たり前になると、切り離すのは容易なことではない。
様々な場面を想像すればわかる。
仕事をしている人なら、スマホがあることで、連絡が容易になる。
家族のいる人なら、家族に不測の事態が生じた時、すぐに連絡がつく。
友達付き合いを大切にする人なら、突然の美味しいお誘いをすぐに受けることができる。
得たい情報がある時はその場で調べることができる。
ちょっと思い浮かべただけで、あるに越したことはないとわかる。
スマホがあることで、一番便利に感じるのは、時間の浪費を防ぐことに、大いに貢献してくれるということだ。
様々なことが、指一本で完結できるのは、スマホの普及していなかった時代では考えられないことだった。
こんな便利なものに慣れてしまうと、なくても困らないけれど、あればあったで便利だし。。。と思うようになる。
私が十代の頃はスマホなど存在しなかった。
子供達に話すと、「どうやって友達と遊んでいたの?待ち合わせとかは?」と、まるでそれが不可能であるかのように驚かれる。
どうしていたのだろう?
友達と会う前は家の固定電話で連絡を取り合い、待ち合わせの時間や場所を決めていた。
「もし、なにかあって行けなくなった時や遅刻するときは?連絡取れないじゃん」
そんな時のために、私はいつも喫茶店などで待ち合わせをしていた。
喫茶店ならその店に電話をすれば、客に取りついでくれるからだ。
今はどうなのだろう?
チェーン系のカフェが乱立する今と違い、個人店が多かったからこそ出来たことかも知れない。
駅で待ち合わせをしている人も多かったけれど、そんな人は駅にある「伝言板」という黒板にメッセージを残したりしていた。
ほら、なければないで、どうにかなるものなのだ。
そう言いたいところだけれど、スマホであれば直接的にメッセージを送ることができる。まさに時間の短縮だ。
他にものすごく単純なところなのだけれど、スマホの機能で重宝しているものがある。
それが「時計」だ。
常にデジタル表示されているので、パッと確認するのに便利だ。
街中には時計などそこら中にあるように思えるけれど、いざ必要なときに見つからないということはよくある。
どんな気楽な身分でも、少なからず時間には縛られている。我々に与えられた時間が1日24時間と決まっている限りは。
「時は金なり」などと格好のいいことを言いながら、少しの時間も無駄にしたくないと、あちこち飛び回るような生活をしてきたけれど、50も過ぎれば、ただ忙しなく非効率に動いていただけでは?と思わないでもない。
それならば、腕時計でもしていれば事足りるのではとも思うところだけれど、腕時計ではまかなえないこともある。
スマホは日本のみならず、世界中の時刻を正確に知ることができる。
我が家の夫は外国人なので、親類縁者、友人など多くの人が日本以外の場所で暮らしている。そんな人達と連絡を取る必要がある時は、スマホの時計がなくてはならない。
腕時計では無理なのだ。。。
いまやスマホはパソコンと同じだと、私は思っている。
むしろ、コンパクトな分、パソコンよりも使い勝手がいい。
人によってはもっと高度なスペックが必要だという人もいるだろうけれど、私のような主婦が使う場合、電話、メール(LINEなど含む)、ネットショッピング、検索、写真、そしてブログやSNSなどの利用が主なところ。
これらはスマホさえあれば事足りる。
私はこのブログも、全てスマホで書いている。掲載する写真も全てスマホで撮影したものだ。
パソコンも使用するけれど、なければないで、スマホだけでどうにかなってしまう。
ブログなどを書き始めると、何時間でもスマホの画面にかじりついていることができる。
子供達などはTwitterやインスタなどで、興味のあることをつらつらといつまでも見ていたりする。
夫はといえば、ベッドにゴロリと横になり、映画などを延々と観ていたり。。。
誰もがスマホありきで生活している。
時に思う。これは「好奇心」を奪い去るものにはならないだろうか?
あまりにも便利すぎて、それさえあれば百人力と錯覚し、他のことに興味が向かなくなる、そこまで行かずとも、知らず知らずのうちに時間を浪費している。
そんなことにもなりかねないぞと。。。
時間の無駄を防ぐことに役立つものも、双刃の剣になりかねないのだ。
そんな風に考えると、たまにはスマホと離れてみるものだとも思う。
意識的にそれをするのは、前記の通りちょっと難しく感じるから、せめて忘れてしまった時くらいは、スマホをとりに戻ることなく、一日を過ごしてみるのだ。
忘れたことを落胆するのではなく、それをデジタルデトックスの機会として、喜んでみるのもいいかもしれない。
とりあえず、私なら財布と腕時計さえあればOKだ。