In other words

I really don't know life at all ...

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多肉植物に思う、都会暮らしか田舎暮らしか。メリット、デメリット共にありで揺れる心。

今年になってから、突然多肉植物の面白さに目覚めた。

その前から梅や桜、木瓜沈丁花などの小さな植物は育てていた。また食べ終わったアボカドの種を植えたら元気に成長し、1メートルを超えた鉢もある。他にも同じくらい大きな金木犀の木もある。

緑ばかりでは楽しくないと、一年草の苗を買い、毎年さまざまな花を楽しんだりもしていた。

そこに多肉植物が加わったのだ。ついでにカレーにフレッシュな唐辛子を使いたい!と、唐辛子まで仲間入りだ。

我が家は都心のマンション暮らし。しかも部屋の面積を広く取るためか、ベランダがとても狭い。
洗濯物を干すには支障ない程度だけれど、ベランダガーデニングをするにはまったく広さが足りない。

それでも、多肉植物が仲間に加わるまでは、まだなんとか整理できていた。
しかし、小さかった多肉植物は想定外の成長を見せ、我が家のベランダを埋め尽くす勢いだ。

小さいからと侮っていた。。。

まず、多肉植物には中毒性がある。とにかく個性豊かな姿形をしたものが無数にあるものだから、「これ可愛い、欲しいな〜」と、次々と収集したくなる。

これまで収集癖などなかった私、しかも目的は多肉植物コレクションではなく「成長を楽しむ」ことだった。そんないくつもある必要はない。にも関わらず、気がつけば数十鉢も買い集めてしまっていた。

よくタニラーと呼ばれる、多肉植物を趣味とする人のブログなどを見るのだけれど、もうすごいのなんの!
みなさん、何百鉢あるの?というくらいの多肉祭だ。
そんな方々に比べれば、私などまだ可愛いものだと思う。

それでも、我が家のベランダは、もうこれ以上の新参者はお断りというくらいに満員御礼状態なのだ。





多肉植物は放っておいても増える。。。
茎から落ちた葉が、いつのまにか根を出し、芽を出し、気がつけば小さな多肉植物が一つ出現しているといった具合だ。

この素晴らしい生命力に興味を持った私は、さらに増殖させてやろうと、よせばいいのに「葉挿し」に手を出した。

素人のやることだから、そう上手くはいくまいと思っていたのだけれど、意外なことに葉挿しした多肉の葉は面白いように根を張り、新しい芽を出してきたのだ。

元々育てること、その成長を見て楽しむことが目的だ。毎日眺めるのが楽しくて仕方ない。

こんな風に夢中になっているうちに、我が家のベランダはジャングルと化した。。。

もはや限界である。
私が育てることを楽しめば楽しむほど、ベランダは密林と化す。
かと言って、この楽しみを放棄する気にはなれない。

ここで考えたのが引越しだ。
賃貸マンションなので、出ようと思えばいつでも出られる。
ちょうど今年は更新がある。いっそのこと、広いベランダのあるところに引越しをしようか?

早速ネットで物件を探してみた。
今住んでいるエリアで、大きなベランダや庭のある物件となると、おそらく今の倍以上の家賃を払うことになるだろう。
これは無理なので速攻却下。

少し下れば少しはいい物件があるかも?
地下鉄で30分も下れば、若干家賃は安くなるようだ。。。
しかし、あくまでも「若干」なのが問題だ。

同じような条件、平米数で探すと、たとえ下っても10万も安くならない。
これでは何のために引っ越すのか。。。
家族の了承さえもらえないだろう。
植物のために好物件をみすみす出て、不便なところへ行くのは、どう考えてもおかしい。

そこで考えた。
中途半端に都内などではなく、いっそのこと田舎へ行ったらどうか⁉︎

子供達も成人したことだし、東京で一人暮らしくらいはできる。

どこか温泉のある田舎町で、小さな一軒家でも借りて、植物を育てる暮らしを満喫するのだ。もう多肉植物も増やしたい放題だろう。





2拠点暮らしは考えたことはあるけれど、完全なる移住は無理だと思っていた。

しかし、それは私が生まれ育った東京という街にこだわってのことだ。
若い頃、海外で暮らしていたのだけれど、東京に戻った時、「やっぱりここが一番。ここが私の終の住処だ」と感じた。
そんなこだわりが、心の隅にあるせいか、東京を完全に離れるという選択肢はなかった。

一方で田舎暮らしに対する憧れも、どこかに持っていた。
美しい景色に囲まれ、温泉三昧、晴耕雨読の日々を想像しては、なんとか老後はそんな生活ができないものかと、あれこれ調べたりもした。

しかし、田舎暮らしは簡単ではない。
私は海外で田舎暮らしをした経験が少しだけあるのだけれど、正直とても大変だった。
最初はすべてが目新しく、それなりに楽しかったけれど、慣れてくるにしたがい、その不便さがストレスになってきた。

子供がまだ小さかったので、お休みの日に山や海に出かけたり、バーベキューをしたりと、エンタメには事欠かなかったけれど、遊んでばかりいられるわけではない。その前に暮らしがあるのだから。

あの頃は、私もまだ若かったから、田舎暮らしが退屈に思えたのかもしれない。
今ならどうだろう?
もう、夜の街で遊ぶこともない。素敵なレストランやカフェにも行きたいと思わなくなった。
何が楽しみかといえば、家でベランダの植物を眺めたり、パンを焼いたり、ブログを書いたり、それだけだ。
たまにデパ地下をぶらぶらしたり、お友達と会ってランチがてらお喋りしたりすることはあるけれど、毎日ではない。

つまり、ほとんどの時間、家で一人で楽しんでいる生活なのだ。
これなら東京でなくても、どこでも同じだ。

しかし、憧れだけで安易に田舎暮らしを始めても、あっという間にUターンという話はよく聞く。

ここはしっかりと考えてみる必要がある。





まずメリット。
・冒頭の多肉植物問題の解決。
・移住地を温泉地に近い場所にすれば、毎日温泉三昧。
・知らない地で暮らす新鮮さを味わえる。
・お金を遣える場所が減る=節約生活

他にもあるのだろうけれど、今は思い浮かばない。。。

次にデメリット。
・病院が遠くなる。
若い頃、大病をして以来、定期的に病院へ通っている。
10年にわたり診てくれている主治医のそばを離れるのは、正直不安だ。
何かあれば駆け込める、そんな場所がある安心感は何事にも変えられない。

・車での生活
田舎暮らしで不安なのが車だ。聞くところによると、一家に一台ではなく、一人一台が普通だという。つまり、マイカーがなければ移動できないということだ。
私は運転免許はあるけれど、自分では運転をしない。
運転がとても下手で注意散漫なので、海外の広い道路では問題ないのだけれど、日本ではリスクが高いと運転しないことにしている。
自他共に認める走る凶器だ。このように適正のない人間は、ハンドルを握るべきではないと思っている。

都心にいれば運転する必要はない。バスや電車は数分おきにくるし、タクシーもビュンビュン通る。
運転免許証が身分証明書代わりのみの役割しかせずとも、なんの不都合もない。

・お友達と気軽に会えなくなる。
今お付き合いのあるお友達は、ほとんどが都心住まい。ご近所さんも多く、買い物の途中で出くわしては、お茶を飲んだりランチをしたり、気軽に会うことができる。
これが遠く離れてしまったら、これまでのようなお付き合いはできなくなるだろう。

・虫が多い。


非常に魅力的な幾つかのメリット、それを思うと今すぐにでも東京を引き払いたくなる。

しかし、同時に移住を思い止まらせるほど不安なデメリットを併せて考えると、やはり田舎暮らしは簡単に決めては後悔すると思わされる。





最近、田舎町の温泉宿に2泊して、のんびり過ごしてきたのだけれど、そこで「もしここで暮らしたら?」と、想像してみた。
実際に東京を離れ、山々に囲まれた土地に身を置けば、少しは現実を感じられるのではないかと思ったのだ。

素晴らしい温泉と雄大な景色、心染み入るような静けさ。なんとも心地よく、気分は最高である。

しかし、一歩外へ出ると車なしで行動する難しさを感じたり、旅館の部屋に虫が歩いていて悲鳴をあげたり。。。


結局、想像できたのは上記にあげたメリット、デメリットで、決定打となるようなアイデアは湧いてこなかった。
湧いていたのは、源泉掛け流しの素晴らしいお湯だけだった。。。

東京に戻り、いつものようにベランダにズラリと並ぶ小さな多肉植物たちを眺めては、未だ心はゆらゆらと揺れている。

こんなに揺れるのなら、やはり田舎暮らしは無理なのかと、かなり弱気になってきた。

とりあえず、ベランダのジャングル化を食い止めることに尽力し、田舎暮らしに関してはペンディングすることにした。