終日家にいる日は、ほぼ毎日朝からパンを作っている。
我が家の夫は外国人なので、主食はお米ではなくパンのため、日本人のご家庭が毎日お米を炊くようにパンを作るのである。
以前はほとんど小麦粉の価格など気にしたことはなかったのだけれど、最近の度重なる価格高騰を受け、さすがに「高いな」と感じることが増えた。
いつもパン用の小麦粉はネットで注文している。たまに買い物ついでに興味を持ったブランドの小麦粉を見つけたりすると買ってくることもあるのだけれど、いつも持ち帰る時には重たくて買ったことを後悔する。
小麦粉に限らず、水や米など重たいものは通販に限る。
最近も小麦粉が残り少なくなっていたので、いつものようにネットでパン用小麦粉を注文した。
私がよく使うリスドォルは現在amazonで3kgで¥1,662。ただその都度値段が変わる。4月頃は同じものが¥1,900近かったので、若干下がったようだけれど、少し前と比較すると、まだ高いと感じてしまう。
もう少し安いものはないかと探してみたところ、同じものをまとめて買うと、若干安くなるようだった。
3kg×4袋で1袋¥359、4袋だと¥1,436お得ということになる。
あまりまとめ買いはしたくないのだけれど、この価格差は見逃せない。
「残り一個」の表示にせかされるようにポチッとした。
※同じ製品でもその時々価格が変わるので、ご参考までに。
12kgの小麦粉というと、かなりの量だなと思ったものの、とにかく毎日のように作っているのだ。その消費量もそれなりになるだろうと、一体何日くらいで12kgを消費できるのか、単純計算してみることにした。
一日平均約600gほど使用するので、1ヶ月にすると18kg。
12kg あっても20日で消費してしまう計算になる。思っている以上に食べている。。。
それにしてもお金がかかるなと思う。
我が家の外国人夫の主食はパンなので、お店で買うことを考えれば、家で作った方が割安だと思うのだけれど、それにしてもだ。。。
その分、お米の食費量は少ないのだから、どっちにしても同じでしょと思ったものの、果たして同じなのだろうか?
もしも我が家の主食がお米だったら、もしかしたらその方が安いのではないかと考えた。
ここは日本だ。日本人の主食であるお米がパンよりも高いなどということがあってはいけない!
しかし、昨今では「朝食はパン」というご家庭の方が多いと聞く。そうなると、パンもお米同様の扱いとなっていてもおかしくはない。
パンとお米、果たしてどちらが安いのか?
我が家の消費量に基づいてざっと調べてみることにした(我ながら暇だ)。
いつも買うお米は5kgで約¥2,500。
5kgだと約33合分になる。これを毎日3合ずつ消費すると11日分だ。
日割りにすると1日¥227。
一方のパンは直近でポチッとした価格で計算したところ1日で¥258。
若干お米の方が安い。
やはりここは日本だ。日本人の主食に軍配が上がった結果となった。
しかし、単純に値段だけを考えるわけにもいかない。
時は金なり、時間をお金で買うと言うように、時間や労力も考慮してコスパを考えるべきだ。
お米は土鍋に米と水を入れ、火にかけて30分で炊き上がる。途中で火を弱める以外、することはない。ただ放っておけばホカホカごはんの出来上がりだ。
一方のパンはといえば、混ぜたり捏ねたり焼いたりと、かなり手間がかかる。
特に私が作っているサワードウブレッドは、着手してから約12時間ほどかかるのだ。
12時間ずっと作業をしている訳ではないけれど、40分おきに捏ねくり回したりとちょこちょこ手を入れる必要がある。
ようやく生地が出来上がったら、今度は成形だクープ入れだとまだやることがある。
そして最後に暑いキッチンの中、オーブンを250℃にまで上げて焼く。
終わった時には小麦粉まみれの汗だくだ。
ここまで手がかかるとなると、やはりパンよりもご飯の方が安上がりに感じる。この労力と時間を秤にかければ、¥30の差など簡単に吹き飛ぶ。
やはりパンよりもご飯を主食にした方がずっとコスパはいい。
しかし、夫の身になればやはりパンでなければストレスになるだろう。
私も若い頃は和食よりも洋食を好んでいた。夫と結婚して以降はほぼ毎日洋食で和食を作ることはなかった。肉じゃがやきんぴらなど、作ったこともなければ食べたいと思ったこともない。
ところがこの歳になると、乳脂肪分たっぷりの洋食が胃腸にこたえるようなった。特に40代半ばで大病を経験して以来、すっかり胃腸が弱くなったせいもある。
加えて年齢と共に、子供の頃から慣れ親しんできた和食に気持ちが傾くようになったのだ。
もしも今、「お米は割高だから毎日パンを食べよ」と言われたら、とても困る。
気持ちも身体も和食を求めているのに、毎日毎日パンばかりではきっと痩せてしまうだろう(痩せたいけれど)。
夫にしてもそうだろう。若い頃は外食などで日本食もそれなりに楽しんできたけれど、50を過ぎてみればやはり子供の頃から慣れ親しんできた食事を求めるようになった。
これを毎日「米を食せ」と言われたら、きっとかなりのストレスになり、仕事をする意欲にも影響しそうだ。
夫がしっかり働いてくれないと、私の安泰な生活が脅かされることになる。
そうなると¥30ほど割高だろうが、手間暇かかろうが、この生活を守るためにはパンを作り続けるしかないのだろう。
身体が動く限りは毎日パンを焼くのが家庭の平和を維持するためにも不可欠だ。
暇に任せてくだらないことを考えていないで、趣味と実益を兼ねたパン作りを続けていこうと思う。
余談だけれど、ここ数日パン作りをしていない。
夫と喧嘩をしたため、その制裁として焼いてあげないのだ。
たまたま外出が重なり、家でのんびりパン作りをしている時間がないというのも理由なのだけれど、普段はなんとか工夫して毎日食卓に自家製パンを並べる努力をしている。
しかし、私の機嫌が直るまで焼くつもりはない。
夫は仕方なく近隣のパン屋さんやコンビニでパンを調達してくるのだけれど、「なんかいつものパンじゃないと胃腸の調子がよくないな〜」などと、ぶつぶつ言っている。
「作ってください」と言おうものなら、どんな言葉が返ってくるか、墓穴を掘るのは火を見るより明らかなので、それも言えないようだ。
パン作りは夫の食事のためというのもあるけれど、元々は私の趣味だ。小麦粉を捏ねくり回すのが好きで長年続けていることなので、正直作りたくてウズウズしている。
それでも今日も頑張ってパンを焼かない努力をしている。
そのうち、機嫌が直ればまた作るつもりだけれど、まだムカムカはおさまっていない。
一度機嫌を損ねると、1週間くらいは直らない。小動物気質のため、嫌なことは忘れないからだ。
人間は嫌なことがあると忘れようとするけれど、小動物などは忘れなという。覚えていることで身を守ることができるからだ。
私の場合は小動物と違い命の危険はないけれど、また不愉快な思いを繰り返さぬように、教訓として心に留めておく。
いつまでも意地を張っていては、自分の趣味を楽しめなくなるという結果になるので、件の喧嘩について忘れはしないけれど、適当なところでパン作りを解禁するつもりだ。
少し悔しいけれど。。。