In other words

I really don't know life at all ...

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エリザベス女王陛下崩御のニュースに、自身の青春を振り返りポロリこぼれた涙。

エリザベス女王陛下崩御のニュースに、普段はあまり観ないTVをつけて、女王在位70年の歴史を辿る映像を観ていた。

90年代の若かりし日々を英国で過ごした私は、王室主催のパレードがあるたびに、その群衆の中の一人として、煌びやかな馬車の中から手を振るエリザベス女王を見ていたものだ。
それは、映画や写真でしか観たことのなかった荘厳な景色であり、まだ20代だった私は、大きな感動に包まれていたものだ。
そこには今は亡きダイアナ元妃の姿もあり、今でもその時に撮った写真が数枚残っている。

TVから流れてくる映像を観ていたら、なぜかポロポロと涙がこぼれてきた。

それは女王崩御によって、自身の輝いていた青春をも消えたような気持ちになったせいなのだと思う。

30年経った今でも、あの頃のキラキラとした日々は、まるで昨日のことのようによく覚えている。

それまで日本で培ってきたものを全て置き去りにして、未知の生活に足を踏み入れることの不安はあったけれど、英国という国の水が合っていたのか、忘れ難いほどに素晴らしい数年間を過ごすことができた。



英国で暮らしたことで、私の人生も大きく変わった。
一番は想定外に外国人である夫と結婚し、二人の子供にも恵まれたことだろう。
一生独身で、仕事と遊びだけをして面白おかしく暮らすことを目標としていたはずが、今では二人の子供の母親であり、専業主婦などをしているのだから、人生とは面白いものだと思う。

ニュース映像を観ながら、英国に留まらず、なぜ日本で暮らすことを選んだのだろうと、少しだけ残念に思った。
ツッコミどころ満載の国だけれど、そこで暮らしていた頃の私は十分に幸せであったからだ。

もしも、あのまま英国で暮らしていたら、私の人生もまた大きく変わっていたのだろうと思う。
それが良い人生だったか否かは、わからない。ただ、どちらにしても、今とは違った人生を生きることができたかもしれないという思いだ。

人は凪の中に留まっていると、焦りのようなものを覚えるのかもしれない。
波風のない、変わらない景色の中で、違った人生を想像するのだ。

私はいま凪の中に漂っている。
ポカポカと暖かく、眠気を誘うような穏やかな暮らしの中にいる。
だからこそ余計に、若かりし頃の嵐のような日々に憧憬するのだろう。

エリザベス女王陛下崩御の一報に、そんな気持ちがはっきりと姿を表したのだ。



過去の輝かしい日々を思い出し、少しばかりおセンチになってしまったけれど、いま生きている人生も上等ではないかと思う。

結婚して25年以上、年々頑固になる外国人の夫は時に厄介ではあるけれど、家族のために一生懸命に働き、健康でいてくれる。
なによりも、私の自由を尊重してくれ、大切にされていると感じられる。
子供達も無事に成人し、それぞれが望む人生を歩き始めた。

私自身はこれまで大病をしたりと、健康上多少の不安はあるものの、いまは好きなことだけをして、のんびりと毎日を楽しんでいる。
これ以上、望むことのない暮らしと言ってもいい。

もう50代とはいえ、人生はまだまだ続く。エリザベス女王陛下に至っては、96歳だ。
人生100年時代ならば、私などまだ道半ばなのである。
過去の栄光を回想し、おセンチになっている場合ではないということだ。

残り半分の人生も、これまでに負けないくらいに楽しく過ごしていきたいと思う。


女王陛下の素晴らしい国で、よき青春時代を送り、輝くばかりの思い出ができたことに感謝いたします。。。